〈秦レンナ〉
これまでさまざまなスキンケアアイテムを展開してきた「mirari」ですが、ボディケアアイテムを手掛けるのは初となります。そのきっかけは何だったのでしょうか?
〈カン・ハンナ〉
実は私自身が、これまでボディケアをおざなりにしてきた自覚があって。顔は丁寧にケアするのに、身体にかける時間はとても短い。本当にこれでいいのだろうかと問いかけ続けていたんです。
顔は、赤みが出たり、乾燥したり、ニキビができたり少しの変化でも感じやすいパーツですし、毎日鏡で見るからそれにちゃんと気づくこともできます。一方、身体はどんなに疲れていたとしても、翌朝起きればちゃんと動いてくれる。だからつい放置してしまいがちなんですよね。でも、自分が日々頑張れるのは、この身体があってこそ。もっと大切にしてあげるべきなんじゃないかと、本格的にボディケアに向き合うようになりました。
〈秦レンナ〉
ハンナさんがボディケアを丁寧にするようになって、感じた変化はありましたか?
〈カン・ハンナ〉
自分の身体を丁寧に扱うようになると、自分の身体に対して自然と「ありがとう」という気持ちが湧いてくるんです。仕事を終え、むくんだ脚を撫でながら「私の脚、頑張ったね」と、声をかける。なんていい時間なんだろうと思いながら続けていました。
そうした中で気づいたのが、ボディケアは究極の自己愛だということ。顔は常に人に見られるパーツということもあり、お顔の肌をケアするとき少なからず他者を意識している部分があると思います。でも、身体の肌をケアする時には顔に比べると他者に全身を見せることも少なく、他者に評価されるのも比較的に少ないもの。だからこそ、身体を丁寧にケアすることは、純粋に自分を愛するための行為だと言えるのではないでしょうか。
〈秦レンナ〉
ボディケアと自己愛について考えていくと、身体と心のつながりについて考えたくなります。例えば、自分に触れたり撫でたりすることで心が落ち着くことがありますが、ハンナさんは、ボディケアが心にどんな影響を与えると思いますか?
〈カン・ハンナ〉
ミラリを通じてこれまでたくさんのお客様にお会いしてきましたが、私が背中や肩にそっと触れると、多くの方が泣き出したり、涙を堪えたりするんです。「大丈夫だよ」と声に出さなくても、この手を、肌を通じて想いがちゃんと伝わるんですよね。まさに「手当て」という言葉があるように、実際、手には治癒の力があるのだと思います。
できれば私が一人ひとりの方に会いに行って、身体に触れられたらいいけれど、そうもいかないという中で、私が伝えたかったのは、誰かの手を借りなくとも、自分の手で自分を癒すことができるということ。私自身、ボディケアを通じて意識的に自分の身体に触れるようになり、「自分を愛する」気持ちを一層育むことができたと感じています。それを皆さんにも共有したくて、このボディケアアイテム2種を作りました。
〈秦レンナ〉
ボディウォッシュには「ふれる、みがく、ながす、はらう」、ボディジェルミルクには「なでる、めでる、おおう、まもる」という言葉が添えられています。まさにそれこそがハンナさんからのメッセージなのですね。
〈カン・ハンナ〉
「洗う」ではなく、「ふれる」「みがく」「ながす」「はらう」、「塗る」ではなく「なでる」「めでる」「おおう」「まもる」時間なんだと思うことで、いつもの何気ない行為にも温かみを感じられるような気がしませんか。お風呂に入ってただ身体を洗うのではなく、「ここからは私の身体と向き合う時間、私を愛する時間なんだ」と、意識することがまず大切だと思ったんです。
「洗う」ではなく
「ふれる」「みがく」「ながす」「はらう」
「塗る」ではなく
「なでる」「めでる」「おおう」「まもる」
〈秦レンナ〉
ハンナさんは、今回の商品を通じて、「“今”の自分に集中すること」を大切にしてほしいとも伝えていますね。
〈カン・ハンナ〉
例えば、1日の仕事を終え、ようやく一息つこうというときに、「今日は仕事でこんな失敗をしてしまった」「明日はこんな大変なことがありそうだ」などと考えていると、せっかくのリラックスタイムも、まったく心地いいものではなくなってしまうと思うんです。もちろん、毎日いろんなことが起こります。だけど自分をケアする時間だけは、一旦思考をストップして、過去でも未来でもない、まず、「今の自分」を一番に考えてほしいのです。
〈秦レンナ〉
今回の商品は2025年の春夏限定としてのリミテッド商品だということも“今”を楽しむきっかけになるかもしれませんね。
〈カン・ハンナ〉
そうですね。例えば、今日お会いした人とこの先、二度と会うことがないかもしれないと思うと、一緒にいる時間をもっと大事にしたくなると思います。それと同じではないでしょうか。ミラリの「lucky charm body wash」、「lucky charm body gel milk」は2025年の春夏だけのリミテッド商品。今しか使えないものだと思うと、使う時にもっと大切に使いたくなったり、もっと丁寧にケアしたくなる気がします。
だからこそ、「2025年の春夏を楽しむ」ための商品を作りました。そして2025年春夏のテーマにしたのは「浄化」です。日々お客様の声を聞きながら感じていたのは、皆さん本当にいろんなことを溜め込んでいるということ。それをすっきり浄化しませんか?というのが、今のミラリからのご提案です。
〈秦レンナ〉
商品名を「lucky charm(幸運のお守り)」としたことには、どんな想いがあったのでしょう?
〈カン・ハンナ〉
私は人生の中で、「なんでこんなにうまくいかないんだろう?」「私ってついていないかも」と思う時期が意外と長く続きました。でも今は、「私って、ものすごく運がいい」と感じています。その違いはどこにあるのかと考えてみると、たった一つ、「私が私を愛していることを疑っていない」ということだけでした。
今だって大変なことはたくさんありますし、時には人の言葉に傷つくことだってあります。以前と何かが大きく変わったわけではないけれど、それでも運がいい、とっても幸せと思えるのは、自分自身が変わったからなんですよね。そう、結局は自分次第。この身体と心こそが幸運を生み出すお守りなのです。
だから今、複雑な想いをたくさん抱えている皆さまにも、ボディケアを通じて「自分を愛している」と、信じられるようになってほしい。そんな想いで商品名を決めました。
〈秦レンナ〉
ボディウォッシュもボディジェルミルクも、すっきりとしたミントの香りが特徴的です。ここにも浄化のテーマを感じますね。
〈カン・ハンナ〉
ミントは、聖書の中にも登場し、ネガティブなエネルギーをリセットして新たな始まりを意味しているそうです。まさに「浄化」というテーマにふさわしい香りですよね。それを意識しながら使うことで、一層すっきりできるのではないかと思います。また、ラベンダーとオレンジ果皮を一緒にブレンドすることで、香りに奥行きを出しています。
ボディジェルミルクには、さらにイランイランを加えることで、お花の華やかさとともに心の温かみを感じられるようにしました。まさに自分が花になったような気持ちで、ボディケアを楽しんでいただきたいですね。
〈秦レンナ〉
「すっきり」できるポイントのもう一つに、天然由来のAHAフルーツ酸が配合され、「角質ケア」ができることがあります。「角質ケア」を毎日するのは肌に良くないというイメージもありますが…。
〈カン・ハンナ〉
確かに角質ケアのやり過ぎは肌への刺激が強くよくありません。でもこの商品は、5種の天然由来AHAフルーツ酸を配合したことで、肌に負担をかけず、毎日優しく角質ケアができるようにしました。というのも、角質は毎日少しずつ溜まって蓄積されます。それってきっと心も同じで、いろんな未練や雑念が、少しずつ溜まって、やがて大きな苦しみに変わってしまう。そのとき思い出したのが、「あかすり」でした。
韓国にはあかすりの文化があり、私も子どもの頃から母に連れられ、毎週通っていました。鮮明に覚えているのは、あかすりをした後は、ものすごく気持ちが晴れるということ。まさに浄化されたような感覚ですよね。あの感覚を毎日味わえたらと考えました。身体を洗う時間は、肌の古い角質を落とすとともに、心の角質も振り捨てるる時間だと思ってケアしていただきたいです。
洗った後には、ボディジェルミルクで保湿ケアを。天然由来AHAフルーツ酸で角質を柔らかくすることで、保湿成分がより浸透しやすくなります。塗るたびに肌が柔らかく、すべすべになるのを実感できるはずです。
〈秦レンナ〉
ボディジェルミルクは、塗布後、時間をかけ、何度も肌を撫で続けることで馴染むテクスチャーが特徴的です。時短ケアが重視される今、あえてこのようなテクスチャーとしたのはなぜでしょうか?
〈カン・ハンナ〉
「時短」はとても素晴らしいことだと思う一方、全てが効率や便利さばかりになってしまうと、どうしても心は豊かになりづらいと感じてしまいます。たった30秒の違いのために、自分と向き合う時間を減らすよりも、その30秒を自分のために使ってほしい。だからあえて時間のかかるものを作りたかったんです。
はじめはうっすらと白いジェルミルクは、自分を労るように、何度も撫で続けていくと肌に溶け込みなじんでいきます。その行為が、自分を守るヴェールを作るような、そんな優しい時間になったら嬉しいです。しかも、伸びがとても良いテクスチャーなので、撫で続けるのに最適だと思います。
〈秦レンナ〉
今回のアイテムには、「幸運のお守り」というコンセプトに合わせて、ハンナさんによる「omamori tanka」カードがついてくることも大きな魅力です。7首すべてに共通して、春夏を意識した言葉選びや「応援」の気持ちが感じられますが、どのような想いで歌を作られたのでしょうか?
〈カン・ハンナ〉
短歌は、私にとって「自分と向き合う」ことを一番に教えてくれたツールであり、この人生の美しさを気づかせてくれた“救い”でもあります。今の自分の感情、状況にひたすら向き合い、歌を詠む日々を過ごして10年以上ですが、1500年の短歌の歴史を辿ってみると、もともと愛する人や仲間に贈る手紙でもあったんです。その素晴らしい日本文化への憧れが私の中にずっとありました。
しかし、今回、商品とともに短歌を贈るのはどうだろうと考えたとき、正直迷いもありました。本当に伝えたい想いがなければ、上辺だけのものになってしまうだろうと思ったんです。でも、問いかけ続ける中で、今までミラリを通じて出会ってきた女性一人ひとりの方の顔が浮かびました。彼女たちに応援のメッセージを贈ることができるのであれば、歌を詠みたい、もっともっと届けたいという想いが強くなり、7首の短歌が生まれました。
〈秦レンナ〉
この短歌は、一人ひとりの方に捧げるメッセージであり、ギフトでもあるんですね。
〈カン・ハンナ〉
短歌の世界では「短歌は読み手へのプレゼント」とも言われ、読み手次第で感じ方が変わります。つらいときは泣き出してしまうかもしれない。でも半年後、強くなったときには頑張るスイッチを押されるかもしれない。31文字という限られた表現だからこそ、ストレートではない、わかりにくい言葉かもしれません。でも、だからこそこの一首の歌が、人生のなかでずっと自分に問いかける、お守りのような存在になってくれるのではないかと思います。
〈秦レンナ〉
個人的には7首の中でもこの歌が心に残りました。どんな想いが込められているのでしょう?
〈カン・ハンナ〉
花というと、見た目もきれいで香りもいい、例えばバラやユリのような花を思い浮かべるかもしれません。だけど、世の中には花に見えないような花もあれば、香りのしない花だってあります。私たちも同じで、誰かの理想になる必要はないのです。いろんな形の花があると知ると、理想だと思っている「花」なんて、そもそも存在しないことに気づくはずです。
私自身、本当に弱虫で儚くて、そんな自分が嫌で仕方なかったとき、自分が花だなんて、ましてや咲けるだなんて思えませんでした。でも、今は(誰かの評価ではなく、自分の基準ではありますが)大きく花が咲いたのです。
〈秦レンナ〉
それこそ、自分から幸運が生み出せるようになるということですよね。私もそうなりたいです。
〈カン・ハンナ〉
自分を本当に信じきれたとき、「もう大丈夫なんだ」と思えた瞬間、自分の人生に花が咲いたとわかりました。そしてその幸福感は一瞬ではなく、ずっと続いています。
大丈夫。必ず誰しも人生で花が咲くときがきますから。